サロンドフロマージュ -Salon du Fromage-

所在地:フランス・パリ1区
竣工: 2010年12月
主要用途:レストラン・ブティック / 改装
延床面積:73 m2

構造設計 : Bollinger und Grohmann
JCDデザインアワード2011銀賞


歴史的建造物指定されている建築物の半径500mを保存地区の指定を受けるフランスにおいて、当敷地の位置するパリ第1区は全域街並みがコントロールされるこの区域に該当する。
当敷地の位置するリシュリュー通りは、ルーブル美術館・オペラ座・ロワイヤル宮殿に囲まれ、更なる規制を要求される地区に属する。これら既存建築物に変更を加える際には、ABF(フランス歴史的建造物管理)、PASU(都市計画管理)、Préfecture de Police(警視庁)、Mairie(区役所)等の各規制に適応する必要性があり、また、Syndic(地域住民管理組合)による許可も要する。
日本に22店舗、パリに1店舗を持つクライアントのパリ2店舗目のフロマージュ(チーズ)の店舗であるが、年に一度、Porte de Versailles (フランス見本市)で4日間各店舗が集い催される企画展salon du fromage(サロン・ド・フロマージュ)をパリ中心市街地で個店により常設しようと試みた。来訪客が浮遊するフロマージュの展示等を鑑賞し、散策する。気になるフロマージュと出会い、手に取り試食して回遊する。ブティックでフロマージュを購入したり、レストランで様々なフロマージュをそれに適したワインと共に楽しみながら味わうことのできる空間である。

この建築物全体を自由に曲面を描くように佇む3次元曲面の1枚の補強壁が、空間を柔らかく包み込むように既存建築物内の上下に積層するチーズを売る空間とチーズを食べる空間を貫き、一体的にチーズのカーヴのような空間に変化させる。

1階のすごく小さなスペースには、その中でチーズを鑑賞しながら回遊できるように直径・高さが異なる円柱状の冷蔵展示台を350種類のそれぞれのチーズに合わせて点在配置させている。気になったチーズを実際に手に取って試食したり、自分にあったチーズを見つける。
3次曲面の壁をくぐって階段を上ると、2階にはレストランがある。
キューブ状の各種の機能を持った調理台でオープンキッチンの領域をそれぞれの用途に合わせて自由に作る。その余白部分に机と椅子を配置し、チーズフォンデュやラクレットなどをそれらに適したワインと共にゆっくりと味わう。
オープンキッチン・レストランはチーズセミナーや料理教室やワイン教室、その他イベントにも対応し使われ方の異なる、空間にそれぞれの異なった表情を与える。
チーズが入り、人が入ると、空間に賑わいのある色身を与えてくれる。

奥の空間はチーズの熟成庫と共に、従業員用の調理準備や休憩室として、または料理教室などの拡張スペースとしても対応する。